はじめに
多くは期待していない。略奪しようなんて思わない。彼にとって私は遊びだっていうこともわかっている。
そんな風に冷静さを保って、結婚している男性と会っている女性の方は少なくないのではないでしょうか。魅力的な既婚男性と楽しいひと時を過ごす。だけど決して本気にはならないし、相手の言葉も真に受けない。
でも、「恋はするものじゃなく、落ちるものだ」。
江國香織の小説『東京タワー』で主人公がつぶやいたセリフにもあります。
どんなに気を付けていても、いつの間にか落ちてしまっているのが恋。そして相手の言葉に一喜一憂して、彼は本気で私のことを愛してくれているのかも、と期待をしてしまうセリフや瞬間も、ありませんか? わたしだけじゃなくて、相手も恋に落ちているのかも、と思うとき。
今回は、そんなセリフや瞬間を、自分の体験を元にまとめてみました。
あなたは不倫の恋に何を求めますか。愛情? 適度な刺激? 特別扱いされること? それとも、その人と一生を一緒に過ごすこと?
本気の、本物の愛情が欲しい、という人にとって、この記事が参考になればいいと思います。
「どこに行けば会えますか?」切実に聞こえる誘い言葉
出張先で出会った人との話です。彼は地方で自営の仕事をしていて、東京に来ることが度々ありました。彼が東京に来るときに、予定が合えば会って、彼の泊まっているホテルに行く、というのが通例。
抱き合って眠るときに、彼に「私に恋はしていますか?」と聞いたことがありました。
返ってきた言葉は「そういうこと、聞く子は好きじゃない」というもの。その返事を私は、「恋愛感情とか、そういうのを求めないで」と受け取り、この人に執着するのはやめよう、と決心しました。
最後に会ってから間が空いて、このまま連絡を取らなければ自然消滅になるかもしれない、と思っている頃、彼の住んでいる市内に出張が決まりました。
連絡はしないでおこうと思っていたのですが、仕事終わりに、やっぱり会いたくなってしまって、出張で近くまで来ていることを連絡してしまいました。急な連絡だったので、会えなくても仕方ない、と思っていたのですが、返ってきた返事は、「どこに行けば会えますか」。
そして、私が既読をつけたとほぼ同時に電話も。間もなくして、言った場所に来てくれました。
どこにいる?でも、会えるよ、でもなく、「どこに行けば会えますか」。
このセリフに、当時の私はドキドキしてしまいました。なんだか切実な感じがして、私がその人にとってとても特別な人であるような気分にさせてくれる言葉でした。年は一回りも上なのに、へりくだっているようにさえ感じる言葉遣いもうれしくて、ずいぶん前に「私に恋はしていますか?」と聞いた時の答えも、「わかりきったことを聞かないで」という表現だったんじゃないのかな、と思ってしまいました。
特別感、そして尊重されている、という体験が重なると、相手の人の本気を期待してしまいます。