仮面夫婦を続ける夫の本音

カテゴリ:離婚
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2019.4.9

社会情勢の変化で増えてきた新たな仮面夫婦


これまでは先述のような「性格の不一致」「子供のため」「そもそも余力がない」などの理由が仮面夫婦になるきっかけでした。
しかし、昨今の社会情勢の変化は「新たな仮面夫婦」を生み出しています。

そこにはどのような理由があるのでしょうか?
実例を交えながら紹介をしていきます。

(1)親の介護問題

高齢化社会が深刻になり、自分の親だけでなく、義両親の介護問題も切実です。
夫婦のどっちがメインで介護をするか?という問題もありますが、生活費や諸費用の捻出も避けられない話になります。
介護施設に入居させたくても費用面で難しく断念するしかない事もあり、自分たちで面倒をみるしか選択できない人達もいます。

「義両親のことなど関係ない!」と言ってしまうと、その言葉はそのまま自分に跳ね返って来るので、それだけは口が裂けても言えません。
また、仕事と介護の両立というのは現実的に難しく、介護をするために離職をする人も年々増えています。

気持ちは冷めているにも関わらず、年老いた両親の介護のために、
・夫は仕事をして生活費と介護費用の捻出
・妻は家事と介護に専念して、夫の仕事をサポート

という、持ちつ持たれつな関係を維持している事例も年々増えています。

一見すると、夫婦仲良く協力し合っているようにも見えますが、その実態はただの協業関係でしかなく「お互いに離婚したくても出来ない」というのが本当の話になります。

(2)老後の不安

親の介護問題や経済的な理由がない人でも「将来、自分の面倒をみてくれる人がいない」という不安を抱えている人がいます。
老いは誰にでも確実に訪れるものであり、生きている以上、避けられない問題です。
「熟年離婚」や「核家族化」が一般的になり、退職後に独りで老後を過ごさなければいけない…という話は他人事ではありません。
さらに、地域の交流も希薄になるにつれ、高齢者の孤独死は確実に増加しています。

急な病気になった時や、痴呆が進み日常生活を送ることが困難になった時など。
身近に誰かがいてくれれば、それだけで状況の悪化が避けられるため、長年連れ添ったパートナーの存在は非常に大きなものになります。

さすがに日常生活の箸の上げ下げまで、妻に面倒をみて欲しい…と考える人はいないようですが「せめて孤独死だけは避けたい」という思いがあるようです。

施設に入居できれば、孤独死だけは避けられそうですが、費用面の問題だけでなく入居条件が厳しく、希望する施設に入れない例も少なくありません。
リアルな老後の生活をイメージした時に不安要素しかなく、最悪の事態を避けるために夫婦関係の維持を希望する男性もいます。

(3)世帯収入の低下

景気が良くなった…とは言え、同時に広がり続ける格差社会も「お互いに離婚をしたくてもできない夫婦」が増える理由の一つです。
共働きにも関わらず、世帯収入が30万円/月を下回る世帯は珍しい話ではありません。
夫婦揃って低所得の場合、さらに世帯収入は下がるので、家賃の支払いだけでも大きな負担になります。

中には片方の手取り月給が12万円程度しかない例もあり、仮にこの人が離婚をした場合、生活はギリギリの水準になることは明白です。
元々は一般的な収入を得ていたにも関わらず、転職を余儀なくされ、低賃金の職種しか再就職先が無く生活が困窮していった事例もあります。
結婚当初は夫婦仲も良く、経済面でも大きな問題は無かったはずなのに…。

離婚後の生活に見通しが立たないのであれば、夫婦仲が冷めていたとしても「現状維持」を選ぶ人も少なくありません。
仮面夫婦として生活をしながら離婚のタイミングを図るのも選択肢の一つと言えるでしょう。

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