軽い火遊びのつもりで始まる「不倫」。
独身女性にとって不倫の彼は、同僚や同世代の若い男性よりも包容力があり、女性の扱いになれていることから魅力的にみえるでしょう。
また、既婚女性にとっては忘れかけていたトキメキや女性としての喜びを与えてくれる不倫の相手は、男性としての魅力を感じられなくなった夫とは違い、あなたを女性として求めてくれます。
そして、非日常的な恋愛体験は家事や育児で疲れ果てたあなたに刺激と潤いを与えてれるでしょう。
そうした喜びがある一方、不倫には大きなリスクがともないます。
夢中になって身も心も捧げているうちに、自分を見失ってしまい、彼がいなくてはいられない状態に陥ります。
理性では「もう、別れよう」と考える一方で、感情では「あきらめられない」と思い、ずるずると付き合うはめに。
そんな日々を送るなかで、非日常的だった付き合いからお互いの生活に踏み込んでいき、リスクはどんどん大きくなります。
そのリスクの結果は職場や家庭を失うこと、そして自分が傷つくことですが、じつはそれだけではありません。
ここでは、独身女性、既婚女性が不倫に走った場合に背負うリスクについて考えてみましょう。
1.慰謝料を請求される〜金額はどれくらい?〜
ある日、あなたあてに突然、身に覚えのない法律事務所から封筒が届きます。封を切ってみると、そこには不倫していた相手の奥様からの慰謝料請求の内容証明が・・・書類を持つ手が震えます。
なんと、相手の配偶者から200万円もの慰謝料請求・・・
衝撃的なシチュエーションですが、けっして小説やドラマのようなフィクションではありません。
あなたは不倫そのものが民法の709条と710条で定められた「違法行為」にあたるということをご存じですか?
浮気や不倫などの行為は「不貞行為」と呼ばれ、「違法行為」にあたります。不倫をされた側は配偶者としての権利を侵害されたことになり、民法第709条を法的根拠に損害賠償を請求することができるのです。
不倫相手が元配偶者に対して慰謝料を払う……と人ごととして捉えてはいけません。「不法行為による損害賠償」は不倫をした男性だけではなく、不倫の相手であるあなたにも請求することができるのです。
ちなみに、民法における「不貞行為」は夫婦の守操義務違反をさし、夫や妻は他の異性と「肉体関係」を持つことが貞操義務を違反することになるのです。
つまり、デートしたり手をつないだりして楽しんでいる場合は貞操義務には違反せず、損害賠償を請求することはできません。
逆にステディな恋人関係でなくても、一度でも肉体関係があれば『不貞行為』に位置付けられてしまいます。
じつは、既婚男性にとっては風俗も不貞行為となります。
ですから、一時の過ちであっても、既婚男性と肉体関係があれば「不貞行為」となり、「不法行為による損害賠償」が請求される可能性があります。
ネットで調べるとわかりますが、浮気調査を生業にしている探偵事務所、過払い金返還請求と並んで慰謝料請求を主なサービスにしている弁護士事務所も多数あります。
「泣き寝入りせずに慰謝料請求しよう」という風潮が高まっており、一般の主婦が損害賠償を請求するというハードルも低くなっているようです。
ケースバイケースですが、慰謝料請求が認められた場合、その金額は50万円から300万円。
しかも、一度の過ちであったとしても、関係があった場合は、請求がみとめられます。さらに、時効は、相手の配偶者が不貞行為や浮気・不倫相手を知ったときから3年間、浮気・不倫関係が始まったときから20年間。
今の時点で精算したとしても、時効にはならないのです。
- 1)離婚・別居をせず夫婦関係を継続する場合 50万円~100万円
- 2)浮気・不倫が原因で別居に至った場合 100万円~200万円
- 3)浮気・不倫が原因で離婚に至った場合 200万円~300万円
メンタルが不安定になる〜嫉妬や自己否定からうつ病リスクも〜
密やかな不倫相手とのひとときも、しばらくは、日常のスパイスとして、割り切った関係でいられるでしょう。
しかし、「もっと相手のことを知りたい」「もっと自分のことを好きになってほしい」「もっとたくさん会いたい」という気持ちが増し、会う頻度が徐々に増えてくると、気持ちが通じ、体の相性もよくなってくると同時に、密やかな関係であることが、スパイスではなくストレスとして感じられるようになります。
もっと長く一緒にいたい、飲食店やホテル、部屋の中だけじゃなく、休日の太陽の下で一緒に歩きたい、できれば、二人で旅に出たいと思うようになります。
それが叶わないということは、最初は理解していても、割り切れない、気持ちの整理がつかないのが人間というもの。
また、不倫の相手と会話を重ね、暮らしぶりやライフスタイルについて話していると、自然とお互いの家庭、奥様や家族の存在が見えてくるようになり、最初は微笑ましく聞こえてきたエピソードにも徐々に嫉妬の感情が湧くようになります。
さらに、ネクタイや雑貨などをプレゼントしたくなったり、彼のファッションや髪型などにも口出しをしたくなりますが、そうしたい気持ちを押さえ込むことでストレスもたまります。
そうして、相手の奥さんへの嫉妬や堂々と会えない後ろめたさが募り、自分の気持ちがおさえきれなくなると感情的になってしまいます。そして、彼と過ごしている大切なはずのひとときにもささいなことで口論になったり、衝動的に別れ話を切り出したりするようになるのです。
そんな行動を取ってしまったら、あるいはそんな行動を無理して押さえこむようにしていると、今度は自分自身を責めるようになり、自己評価が下がってしまいます。「日陰の存在でもいい、彼と一緒にいたい」と感じていたはずが、「自分は隠されている存在だ」「求められているのは体だけで、実は大切にされていない」と疑心暗鬼になることもあるでしょう。
そうした感情に包まれていると、メンタルが不安定になり、徐々に心が蝕まれてしまい、うつ病を発症するリスクが高まります。
その結果、仕事や家事が疎かになって会社や家族に迷惑がかかったり、場合によっては、離職や家庭崩壊のきっかけにも発展してしまうでしょう。