風俗は浮気じゃない?一般論と法的な解釈
1)プロに相手をしてもらっても不貞行為になる
これは巷でよく耳にする男の勝手な理屈です。
仕事上の付き合いで仕方なく風俗店を利用したから浮気じゃない。
酔った勢いで1回だけ…だから、不倫とは言えない。
出会い系で知り合った素性を知らない人と遊んだだけなので浮気じゃ無い。
逆に女性側の勝手な理屈で耳にする…、
好きなのは貴方だけで、気持ちが無かったから不倫じゃ無い。
寂しい思いをさせた貴方にも責任がある(だから私は悪くない)
強引な人に誘われて断りきれなくて…。
実は、これは全部アウトです。
あくまでも法的な見解ですが、不貞な行為と判断される時に恋愛感情の有無や二人の関係性は免責事項にはなりません。
あくまでもボーダーラインである「不貞な行為」の事実の有無が判断基準になります。
例え風俗店を利用した場合(相手がプロ)だったとしても、配偶者の「婚姻関係を持つものが平和的な結婚生活を送る権利」を侵した事実に間違いありません。
酔った勢い…、出会い系で…、という点も故意の有無を考慮して慰謝料の減額交渉はできますが、そもそも不貞な行為が行われる事が安易に予想される内容。
仮に「一線を超えなかった…。」と言っても、二人だけで宿泊施設を使えば不貞な行為と見なされます。
ちなみにプロが相手だった場合、訴えられるのは配偶者のみ…という判断が通例になっています。
「風俗は浮気じゃ無い」という件はお店側から見た理屈でしかなく、本人が慰謝料を全額負担する事になります。
2)相手が悪くても責任が問えない時もある?
逆に、責任を問われない場合の事例として…
- 不貞な行為の事実を証明できない時。
- 既に夫婦関係が破綻している事を証明できる時(別居中や離婚調停中など)
- 婚姻関係が無く、経済的な損失も認められない時。
このような場合、残念ながら要求が通る見込みはありません。
配偶者が自分以外の異性と頻繁に会っていたとしても、そこに不貞な行為が無ければ法的には有責事項として認められません。
つまり、異性と目が合ったり通常のメール交換を交換している程度では、法的な責任を求める事はできないでしょう。
二人きりで食事や映画に行くようなプラトニックな関係の場合も同様。
家庭を壊すほど過度に会っていれば話は別ですが「一線を超えなければ」法的には責任を問われる事はほとんどありません。
乱暴な話ですが「不貞な行為の事実を証明できない時」は「バレなければいい」と言い換える事もできます。
また、不貞な行為にも時効があり、その期間は20年と定められています。
徹底的に証拠を残さず、時効成立まで隠し通す事が出来れば無かった事に出来ます。(が、大抵バレます。)
婚姻関係が破綻している夫婦や普通に付き合っているカップル同士の浮気も、法的な責任を問われる事はありません。
繰り返しになりますが、法的な意味の責任は「婚姻関係」を前提としています。
そのため、別居期間が長く実質的な夫婦関係が認められない場合、相手に新しいパートナーがいたとしても権利を侵害したと判断することは困難です。
これは事実婚と逆のイメージをするとわかりやすいでしょう。
同様に学生など結婚を前提としていない恋人間で「彼氏が浮気したから慰謝料請求!」といきり立っていたとしても、不貞な行為として認められません。
民法上、婚姻関係を結ぶ前のカップルは自由恋愛が原則であり、法的な貞操義務はありません。
そのため、慰謝料請求は行えない…というのが通例となっています。
余談ですが、不倫相手が同性だった場合(夫の不倫相手が男性だった…など)は、現在の法律では不貞な行為と認められないと判断されます。
これは不貞な行為を「配偶者以外の異性」と定めているためです。
…とは言え、性の多様化が進む現在、ありえない話ではありませんので…。
心中は複雑です。