離婚してくれない相手を納得させる方法とは?

カテゴリ:離婚
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2019.5.25

この他にも離婚してくれない理由とは


不倫をされた側が離婚に応じない…というのはイメージしやすいですが「有責配偶者なのに離婚協議に応じない」例も少なくありません。
家族を裏切る行為をしておきながらの勝手な話で納得はできませんが、その背景には様々な理由があります。
上記のように「証拠不十分」を盾に離婚を拒否する場合でも、冷静に相手の動機を見極める事で円満離婚への糸口を探します

(1)女性(有責配偶者)が離婚に応じない理由

女性側が有責配偶者にも関わらず離婚を拒む代表例は「経済的理由」と「親権の問題」の2点です。
この他には
・気持ちがまだ残っている/やり直せる見込みがある(…と思っている)
・離婚をすると世間体が良くない/恥ずかしい(特に自分の不倫が原因となると…。)
・将来、相手が再婚をする事を考えると耐え難い/人生を全否定された気分になる

…などが挙げられます。

中には離婚の意思は固まっているにも関わらず「少しでも有利な条件を引き出すための作戦」として、離婚に応じない例もあり、これは女性側に多い傾向です。
具体的には「私が不倫をした背景には、夫にも責任がある」と主張する事で、慰謝料の減額を狙う事例や、養育費の上乗せを狙う事例がありました。

(2)男性(有責配偶者)が離婚に応じない理由

もちろん、男性側に離婚原因があるにも関わらず、離婚調停に応じない例もあります。
基本的には女性が離婚に応じない理由とほぼ同じですが、男性の場合…、
・社会的立場が悪くなる懸念(出世への影響。収入減の可能性)
・相手の思い通りになる事が嫌(女性を見下している高慢なタイプの男性に多く、時にはDVをしている人もいる。)
・子供に会えなくなる不安(男性の有責が認められれば、親権は母親が得ることが通例)

…などが特徴的です。

女性に比べて男性は、離婚に伴い経済的な損失を受ける事が多い傾向です。
具体的には「仕事への影響=収入減」や「養育費の支払い」など。
有責配偶者ならば慰謝料の支払いは当然としても、離婚をして夫婦関係を清算した後も確実に継続的にお金の負担が強いられます。
離婚に際して、相手にはメリットが多いのに、自分にはデメリットしかない…となれば、例え自分の行いに非があったとしても、その現実はなかなか受け入れられないものです。

離婚の考えに至る経緯はこうだった!


今回の事例の「夫が離婚を決意するまでの経緯」を先に考える事で、対処方法を整理していきます。
また、状況証拠しかない状態で離婚訴訟の準備を進めるにはどのような方法があるのか?
実際に離婚は可能なのか?
実例を交えながら紹介していきます。

(1)不貞行為は離婚を決意するきっかけに過ぎない。

夫が妻に対して一番最初に感じた不満は、目に見えて家事が雑になっていったこと。
そうは言っても共働きの上、2児の母をやっているのだから仕方がない…と自分を納得させていました。
もちろん、妻に家事を任せきりにするのも何か違うと考え、可能な限りは炊事・洗濯・掃除も行いましたが、さすがに限界もあります。
徐々に増える家事の負担に不平不満が募っていきましたが、ここでは直接の離婚理由にはなりませんでした。

しばらくすると、妻はほとんど家事をしなくなり、子供と過ごす時間も明らかに不十分な状態になりました。
子供達はまだ母親と接する時間が必要な年齢だった事もあり、この点に関しては家族会議を開きましたが、最終的に口論になってしまった事も…。
無理して働く必要はない…という話にも耳を傾けず、頑なに正規職員として働く事を希望し、専業主婦になる気は無いと明言しています。
(妻も仕事にやりがいを感じていた事や、自立したい意思が強く、収入以外でも働く動機があったようです)
しかし、この頃から夫婦間ですれ違いが生まれるようになり、徐々に険悪な雰囲気が生まれました。

次第に妻の帰宅時間が不自然に遅くなるようになり、同時に家族に隠れてスマホをいじる時間が増えるようになります。
同時に、仕事で忙しい割に機嫌が良かったり、その割に夫婦の時間は過度に拒否をするようになったり。
家事をやらないのは相変わらずで、何より子供の世話が明らかに雑になっており我慢の限界も近くなりました。
この頃から「もしかしたら…?」と感じる瞬間が増えるようになり、同時に今まで溜まっていた不信感や不満が一気に溢れ出すようになります。

そして我慢の限界を夫は「離婚」の二文字を意識するようになります。
家族や親戚に相談できる内容でもなかったため、まずはネット上で自分に似た話を探し、後にアドバイスに従い専門家に相談しました。

探偵に依頼をして妻の素行調査をした結果、
・夫には出勤日…としていた日に出社していない日があったり、夜勤と偽って繁華街で遊んでいた日もあった。
・終業後に「会社の打ち合わせ」と称し、特定の上司と複数回食事に行っていた事実を確認。
・社内でも不倫の噂があった…と関係者からの証言を入手。

などの報告結果でした。

結論としてはどれも「明確な物的証拠」にはなりませんが、この時点で夫の離婚の意思を確固たるものにするには十分な内容。
妻の行動パターンを知れば知るほど「これ以上、一緒に生活をするのは無理」と具体的な離婚訴訟に向けて弁護士に相談をすることになります。

(2)状況証拠だけで離婚調停は進めるには?

この場合、妻側に離婚の意思はなく、物的証拠が揃っていない点が問題になります。
夫としては早急に離婚話を進めたいのが本音ですが、妻は「証拠不十分」を理由に離婚協議に応じません。

そこで、一度冷静になって「妻が離婚を納得するにはどうすればいいか?」を整理する事に。
(嫌味な言い方にはなりますが「妻に結婚生活を諦めて貰い、離婚話を納得させるための理詰め」と言えばストレートでわかりやすい表現になるでしょう)

この場合、当事者間で話し合いをしていても平行線のままで解決する見込みはありません。
さらに妻側も弁護士などを雇い有利に話を進めようと先手を打たれてしまうと長期戦になる事は必至。
そうなる前に離婚の意思を明確に示すため、離婚届を含めた書類や資料の作成を行いました。
具体的には内容証明などを送付したり、離婚調停の申し込み手続きをするなどが挙げられます。
話を大げさにして、こちら側の本気具合を示すだけでも、相手を牽制するには十分効果的です。

離婚調停の際に争点になるポイントは
・離婚を決意した経緯
・夫婦関係の修復は可能か?
・財産分与、親権と養育費、慰謝料の考え

が問われ、ここが大きな分かれ道になります。
この際、感情的にならず事実を整理して端的にわかりやすく調停委員に説明することが大切です。

離婚の理由に関しては、妻の不貞行為に関する物的証拠がないため、これを主な理由にしても認められる可能性は低いです。
そこで、婚姻を継続し難い重大な事由の条項にある「配偶者から悪意で遺棄されたとき」を主張します。

また、妻側も離婚に際して請求されるであろう慰謝料の心配や、親権の問題があり離婚に応じないことが多いので、そこは敢えて譲歩するのも一つの方法です。
相手に有利な内容を提示する事で(例:慰謝料の請求はしない。親権は渡さないが養育費の請求はしない、子供の希望があれば都度面会を許可する…等)話し合いの早期解決を目指すのも大人の対応と言えるでしょう。

結果、この妻は
・慰謝料無し、養育費の支払い義務無し
・親権は夫とするが、定期的な面会に加えて子供の希望に応じた面会の許可
・預貯金を含む財産分与も7:3で妻側が多く貰える内容(手切れ金的な意味)
で、決着し合意書の作成に至りました。

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