人事担当者の対処とは?
社内不倫の難しい点は、プライバシー権と関わってくる事です。
原則として、会社側は業務に必要と認められる内容以外で、従業員の私生活を制限する事はできません。
つまり、特別問題を起こしていない不倫カップルに対して、事前に懲戒処分を行う事は違法行
為に該当してしまうおそれがあります。
(法律は社内規定よりも優先され、ここでは労基法との兼ね合いが問題になります)
では、人事は問題が明るみなるまで何もできないのでしょうか?
未然に社内不倫を防ぐ、具体的な対処法を紹介します。
(1)人事異動
先述はしましたが、社内不倫の対処としては定番の方法です。
社内不倫のきっかけの多くは、一緒に仕事をしたり、休憩時間等で接触回数や時間が多くなる事。
「あの2人、怪しいな…。」という情報があれば、その真偽を確かめた上で、意図的に配置転換をする方法です。
また「どこか希望する勤務地や部署ある?」面談を名目に配置転換を匂わす事で、注意喚起をする事もできます。
心当たりのある人達は「どこかに飛ばされる」と思うと、割とあっさり別れるようです。
(2)就業規則の整備/社員教育の徹底
ここが人事担当の腕の見せ所でしょう。
新入社員研修や管理職研修、フォローアップ研修などの機会に、トラブル事例や懲戒事例を交えたプログラムを組みます。
直接、社内不倫はダメです!と言うと「そんな当たり前の事を言われても…。」「もしかして、うちの会社ってモラル低いの?」と変な誤解を招いてしまうかもしれません。
あくまでも、社員のモラルを含めた資質の向上をテーマにした研修の一環として行う事が得策です。
中にはビジネスプランの勉強会に不倫のテーマを使い、いかに不毛な行為か説明した例もあります。
それでも最後は当人達のモラルに委ねることにはなりますが、やるとやらないでは結果は大きく違ってきます。
最後に
確かに恋愛は自由であり、不倫もプライベートな話の領域とも言えます。
しかし、不貞な色恋沙汰が原因で人材を失った…となれば、会社側が受けるダメージは本人達が想像するより大きなものです。
不倫カップルの問題が表面化する裏では「人材不足の世の中で、労働者を1人雇うのってどれだけ大変かわかる?」という人事担当者の悲鳴が聞こえてきそうです…。
社内不倫も起こり得るリスクと考えるべきなのかもしれません。
あらゆるリスクを想定して社内の秩序や風紀を守るのも、人事担当者の仕事と言えるでしょう。