近年、離婚は一般的に…とまでは言わなくても、以前に比べて認知されるようになりました。
お互いに納得をして新たな生活を目指すことは決して悪いことではないので、一概に否定できるものではありません。
しかし、離婚件数の増加に伴い「離婚後のトラブル」も増加。
結論を急いだ結果、思わぬ見落としがあり、それが後々になって問題になる事も。
「離婚が成立したから、今日から赤の他人!」と言いたくなりますが、現実的にはそう簡単な話ではありません。
今回は、離婚後のトラブルの実例を交えながら、不要なトラブルを起こさないために必要なポイントを解説していきます。
そもそも離婚成立後に起きるトラブルって何?
結婚はお互いの目的も気持ちも一致しているので、スムーズに話が進みます。
時には、多少の不具合があっても気持ちが盛り上がっていれば勢いで押し切ることもあるでしょう。
しかし、仲が良かった夫婦も価値観の違いや生活リズムが合わず、徐々に歯車がかみ合わなくなり…。
離婚を決意する時は、お互いの気持ちが別方向を向いているため、話し合いが結婚の時のようにスムーズに進むとは限りません。
離婚について話し合っている段階で、十分な準備と手続きを取っていないと返って面倒な話に繋がってしまいます。
(1)離婚後のトラブルに多い内容
相談件数が多い内容は
・慰謝料および養育費の支払い問題(期日までに決められた金額が振り込まれない)
・子供との面会拒否(親権を持っている側が一方的に子供との接触を拒否する)
・財産分与(意図的に隠していた/見落としていた財産や負債があった)
などが挙げられます。
離婚を決めた際に、真っ先に直面する問題は「親権や夫婦の共有財産をどうするか?」という内容です。
一般的で最もスムーズな方法は、共有財産は現金化して2等分。
親権は母親が得て、父親が一定の養育費をきちんと払う…という形です。
(日本は制度上、子供が小さいうちは、例え妻が有責配偶者であったとしても、母親が親権を得る事が通例です。)
しかし、実際にはお互いの言い分があり、夫婦間の話し合いだけで円満解決することは珍しい話になります。
財産に関しては、家屋や有価証券だけでなく、年金も共有財産と考えるようになっています。
これは、最近になって熟年離婚が増えており、年金分割に関する訴えが増えてきた影響があり、平成16年に法整備されました。
具体的には
・夫:サラリーマンで厚生年金に加入。年金受給額は約18万円/月額の見込み。
・妻:専業主婦で厚生年金は未加入。国民年金のみの受給で、約6万円/月額の見込み
この夫婦が夫の定年を機に離婚をした場合、年金の受給金額に差が生じます。
妻の立場とすれば「専業主婦として夫を支えてきた自分にも夫が受給できる年金の半分は権利がある!」と言いたくなります。
但し、これは婚姻期間や厚生年金を納めている期間など、細かい計算をする必要があるため「妻が夫の年金の1/2をそのまま貰える」とはなりません。
この時には、国民年金の基礎額は含まれず、婚姻期間応じた割合から算出された額が権利として認められます。
(2)トラブルになった実例
離婚に際して財産や権利の奪い合いになる例はイメージしやすいですが、中には押し付け合いになる例もあります。
明らかに負債になる…と解っている資産があれば、新たな人生の重荷になるだけなので拒否をしたくなる気持ちもわかります。
場合よっては「財産分与を放棄する」という方法もありますが、これも後になって言った/言わない…でトラブルになる事があるので、ハッキリとした取り決めが必要です。
一例として
・離婚の際に、元妻が使えない土地(不良資産)の権利を放棄したが書面に残してはおらず、後になって資産価値が出てきた時に権利の主張をしてきた。
…などがあり、例え価値の無い資産であっても、口約束だけの取り決めはトラブルの元です。
養育費に関しても、子供が成人するまでの間に遅延せず満額振り込まれた件数は、約20%程度というデータがあります。
これは、元夫側の生活環境や収入の変化が大きな理由ですが、元妻側の不誠実な対応に不満を持った元夫が「逃げる」パターンも意外と多いためです。
元妻の不誠実な態度には、
・正当な理由もなく、子供に会わせて貰えない。
・養育費を元妻が子供に使わず、自身の生活費/遊興費に使っていた事が発覚した。
などがあります。
養育費の使用用途については報告義務がなく、どのような使い方をしているかについて第三者が確認する事ができないのが実情です。
そのため、養育費の制度自体に不満を持つ男性は少なくありません。
この他にも、協議離婚の最中にお互いの主張の食い違いとコミュニケーション不足が原因で、別居中の配偶者がストーカー化し、嫌がらせが日常化した例も。
自宅だけでなく職場にまで押しかけられると、迷惑がかかるだけでなく事件に繋がる危険性もあります。
人間性を疑うレアケースですが、離婚に際し親権者となった母親が数年後に再婚を希望。
その際に「前夫との子供は育てられない」と一方的に親権の放棄を主張した事例もあります。