●仮面夫婦は離婚してしまうのか?
夫婦関係が破綻しているにも関わらず、即離婚をしないのが仮面夫婦の不思議なところ。
そこには単純には解決できない理由があります。
中には問題解決のために「離婚」を考える夫婦もいますが、仮面夫婦の場合、問題を表面化させるよりも現状維持の方が得策と考える人が多いようです。
奇妙とも言える絶妙なバランスを保つ事ができれば、仮面夫婦とはいえ長年連れ添うことも不可能ではありません。
次に離婚をせずに仮面夫婦を続ける理由を紹介していきます。
(1)子供への影響
パートナーへの愛情は希薄になっても、我が子への愛情まで希薄になる人は多くありません。
離婚を選択した場合、親権の問題だけでなく、子供自身への悪影響も考慮して離婚を控えるパターンです。
経済的理由とも重複しますが、現実的に片親で子供を育てる負担は大きいもの。
生活費や教育費だけの話では無く、子供と一緒に過ごす時間や基本的な生活のリズムを教える事も欠かせません。
例え、養育費を貰っていたとしても、日々の労力や生活費・教育費の捻出なども加味すると、独りで全てを賄うには限界があります。
「今、離婚をするのは子育ての面で得策ではない」と考えるようです。
また、子供と離れて暮らすこと事態が嫌で離婚に対して消極的になる人達もいます。
これは男性側に多い傾向で、その理由には親権は母親が得やすいため。
もちろん実の子供なので会う権利はありますが、それでも一緒に過ごす事はできません。
さらに離婚した元妻が再婚をした場合、現実的に我が子と会うことは難しくなるので「せめて子供が成人するまでは…。」と考える人が多いようです。
(2)経済的理由/仕事への影響
夫婦共稼ぎの収入を前提に組んだ住宅ローンや、共同名義の財産の問題。
逆に、妻側が専業主婦を続けていたため、離婚後に十分な収入を得るほどの仕事に就ける見込みがないなど。
離婚後の生活に見通しが立たないため、仮面夫婦を続けている例があります。
逆に、夫婦のどちらかの実家にまとまった資産がある場合、遺産相続を見越して離婚しないパターンなども。
名家に嫁いだ女性や、入り婿で家業を注いでいる場合など、簡単に離婚に踏み切れない事情があるようです。
また職種や会社によっては、離婚をすると事実上の左遷や降格処分など、人事に影響をする事があります。
当然、月々の給与だけでなく、福利厚生や退職金にまで影響の出る問題に発展しかねません。
社会的地位を維持するために離婚を避けたい…と考える男性は多く、女性側としても収入が減るのであれば「今は離婚のタイミングではない…。」と判断するようです。
こうなると「夫婦」というより「同居人」と呼んだ方が適切でしょう。
愛情が希薄になっていたとしても、経済的に安定した生活の維持を優先して婚姻関係を継続しているドライな関係だと言えます。
(3)離婚の手続き/親族への説明が面倒で…。
離婚の手続きは用紙を役所に提出すれば終わりですが、それに付随する手続きは予想以上に面倒くさい話です。
戸籍上の整理が終わったとしても、銀行口座やクレジットカード、携帯電話の名義変更などの細かい手続きが残っています。
生命保険の受け取り名義人の変更も電話一本で済む話ではなく、ローンを組んでいた場合、契約内容の変更も必要になります。
追い討ちをかけるように、親族から「なんで離婚したの?」という余計なお節介話は避けられません。
いちいち嫌な思い出を蒸し返されながら説明を繰り返すもの精神的に疲弊していくもの安易に想像ができます。
だったら、このまま仮面夫婦を続けていく方が楽で良い…と考えて離婚しない夫婦もいます。