● 盗聴器自体は合法でも、使い方によっては違法になる
冒頭で説明した通り、盗聴器自体に違法性はありません。
市販されている盗聴器は電波法の基準をクリアしたものばかりで、逆に違法電波を用いた盗聴器を入手することの方が困難です。
しかし製品自体は合法でも、使い方によっては違法性が問われ問題になるのが盗聴器の難しいところ。
やはり、付け焼き刃の不十分な知識で盗聴器を使うことは危険です。
では、正しい使い方と違法になる使い方について、実例を挙げて紹介します。
(1)一般的な正しい使い方の例
特定の人の身の安全を守るために盗聴器を所持させます。
もちろん、この時に盗聴器を所持させる事は同意している事が前提です。
実例としては
・ 子供に持たせる→いじめ対策や、問題行動を起こしていないか確認するため。
・ サラリーマンに持たせる→勤怠管理や大きな取引をする際の記録用として。
・ 相談員に持たせる→法的相談などデリケートな内容を扱う際、その内容に問題が無いか
確認をするため。
これらは盗聴とは話が異なりますが、むしろ本来の使い方に近いと言えるでしょう。
(2)浮気調査時の使い方
自分で盗聴器を使うという前提で、違法にならない使用方法を紹介します。
・ 寝室に設置する→妻の留守中に浮気相手を連れ込んだ事を確認するため。
・ 玄関付近に設置する→同上の理由に加え、浮気相手が家を出るタイミングも確認するため。
・ 夫婦共同所有の車に設置する→浮気相手と密会している事を確認するため。
ポイントは「あくまでも自宅および夫婦の共同所有の車」に限定する事です。
妻自身に権利がある建物や車に設置しても、それは防犯上の理由の延長でしかありません。
妻が不在時に浮気相手を自宅に連れ込む男性は意外と多く、特に地域サークルなどで知り合った不倫カップルは自宅で密会を繰り返す傾向が強いです。
まさか自宅で?と思う人も多いですが、留守中の自宅の様子を盗聴器で確認してみた結果、浮気が判明した例は珍しくありません。
また、業務用クラスの盗聴器を使用すれば、夫が隠れて電話をしている音声も傍受することができます。
妻の不在時に、電話で密会デートの打ち合わせをしている場合もあるので、事前に情報を掴む事も出来ます。
参考までに追記すると「玄関付近に盗聴器を設置する」はプロの探偵もよく使うテクニックの一つ。
張り込み調査が長引く際、同じ場所で見張りを続けているのは近所の住人に不審がられてしまいます。
また、肉体的・精神的な負担を減らし、調査をより効率的に行うため、玄関付近の音声を離れた場所でチェック。
浮気相手の出入りが音声で確認できたら現場に急行し、相手の素性を確認する方法です。
(3)違法になる盗聴器の使い方
例え目的が浮気調査だとしても、次の場合は違法行為になります。
・ 夫の同意を得ないまま、所持品に盗聴器を忍ばせる→プライバシーの侵害
・ 浮気相手と疑われる相手の家に勝手に設置する→住居侵入罪の疑い
・ 盗聴器を隠すため、相手が所有する物品を改造する→器物破損の疑い
盗聴器の違法利用で一番多い事例が「他人の所持品に忍ばせておく」というもの。
夫のカバンやスーツに細工をして、小型の盗聴器/ボイスレコーダーを本人の承諾無しに持たせて盗聴を行う行為です。
次に多い事例が、交際相手の自宅や浮気相手の自宅に無断で設置・盗聴を行う行為。
盗聴器や盗聴自体に違法性が無い…とは言え、盗聴器を設置するために無断で相手の住居に侵入したり、所持品を改造するなどをした場合は罪に問われます。
また、仮に盗聴に成功し浮気の証拠を手に入れたとしても、違法行為を行って入手した証拠は、法的に証拠として扱われません。
そのため、裁判などの公の場では浮気の証明にならない上に、違法な盗聴を行った罪が問われる事になります。