「うちは仮面夫婦だから」っていう男と浮気しました。32歳OL(仮)のインタビュー

カテゴリ:不倫の後悔
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2019.3.25

幸せから瞬時に崖下へ


旅行にいこうか。その誘いを聞いたときは本当にうれしかったとミサは振り返ります。旅行とは言っても近県のホテルに一泊しにいくだけ。
それでも、夜風の冷たさを体に受けながら帰るよりずっと魅力的です。
仮面夫婦と言いながら、彼は毎回きちんとその日のうちに自宅に帰っていたということですよね。そのことについてはどう考えていたのでしょう。
「それが彼の誠実さなのかと。私に対して愛情をくれているけれど、仮面とはいえ継続中の家族に対しても仁義をきっているというか。双方に対してできる限りのことを精いっぱいやるのも彼の魅力のひとつなのかと思っていました。」
不倫をする男に誠実さがそもそもあるのか。恋は盲目とはよく言ったもので、その時のミサは本気でそれを誠意と捉えていたと言います。
旅行という言葉にミサは何かを期待したのでしょうか。
「もしかしたら。彼は離婚する気かもしれないな、って本気でそう思って。今思えばほんと、そう考えた自分が腹立たしいのですけど。」
当日は宿泊するホテルのある駅で待ち合わせ、ホテルのレストランでディナー。
とても雰囲気のあるレストランで幸せをかみしめ、やっぱり彼のことが好きなだあ、って。部屋に戻りセックスの後、いつもみたいに急いでシャワーを浴びることもない。そう思っていた矢先でした。彼のスマートフォンが鳴り電話に出た彼は、ちらちらとこちらを見ながら歯切れの悪い返事をしていました。聞かれたくない話であることはすぐにわかりましたので、私はトイレに立つ振りをしてその場を離れました。時間を置いてベッドルームに戻ると、彼は着替えを済ませネクタイを結んでいるところでした。
共に宿泊するはずの彼が、先ほどまでの甘い雰囲気を覆し帰り支度しているのを見てミサはどんなことを考えたのでしょうか。
「想定外のことが起こった時ってびっくりしすぎて状況が呑み込めませんよね。その時がそう。どうしたのって尋ねても目を反らしたままで。」
渡辺は無言で財布からお金を取り出しテーブルに置くと、これでここの支払いをするようにと言いました。
「子どもが生まれそうなんだ。」
セックスレスの仮面夫婦に子どもが生まれる。ミサはまだ事態が呑み込めず、反論の言葉も涙もないまま渡辺を見送りました。

仮面夫婦の妊娠


仮面夫婦と聞いていたところに子どもが生まれると告げられた時、ミサはどのように考えたのでしょうか。
そもそもミサの考える「仮面夫婦」であれば子どもができるようなことはあり得ないはずでは?
「はい。仮面夫婦に子どもができるはずはない、はずです。でもその時考えたのは、一緒に住んでいるわけだしお酒を飲んだ弾みとか、何かの勢いとかで。。だって、シングル同士でもあるじゃないですか、ずっと友達だった男性と酔った弾みでってことが。」
それはそうだが、実際にはそれで妊娠し10か月の期間を経て出産している。その期間についてはどう考えるのか。
「そこなんですよね。妊娠し、その相手が仮面とは言え妻である以上、産むことに問題はない。しかし、私との将来をきちんと考えていたなら、どうだろう。」
黙り込むミサ。もし本当に仮面夫婦であるとして、何かの弾みで妊娠したのであればその時点で夫婦の間で将来についての話し合いがなされ、そこには色んな選択肢があったはず。
しかし実際には、妊娠から実際に子が生まれるまで、そこには夫婦だけの決め事が流れミサの入り込む余地などなかった、そのことをわざわざ彼女に投げかけるのはあまりに酷と言葉を飲み込みました。

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