子供を理由にしない/子供の気持ちをわかったつもりにならない
夫婦仲が危機的な状況になった時に「子供のため」と言って、仮面夫婦になっても離婚をしない人達や、逆に早々に離婚を決断する人達がいます。
この時にやってしまいがちなミスが「子供の気持ちをわかったつもりになる」事。
これらは、仮面夫婦や片親になる事以上に危険な要素を含んでいるので、細心の注意が必要です。
子供を理由にする危険性について
「子供の事を優先に考えて」と言えば聞こえは良いですが、見方を変えるとこれは夫婦間の問題を子供に背負わせる重荷にもなります。
夫婦関係が悪化する原因は様々ですが、その直接的な原因に子供が関わる事は考えにくいでしょう。
親子とは言え、その関係を維持継続するには「信頼関係」が欠かせません。
子供が親を頼るのも「信頼」という担保があってこその話であり、この基本的な部分を疎かにすれば何も上手くいかないでしょう。
親に対して不信感や嫌悪感を覚えながら育った子供と、親に感謝をしながら育った子供では成長の過程で色々な差が出てきても当然です。
離婚をする/しないの選択は、あくまでも当人同士の問題です。
その結論を踏まえた上で、子供と信頼関係をどう築いていくのか?
その点を見落とすと、子供は愛されていない/親は自分に関心を示してくれない…と誤った認識を持つようになり、問題行動を起こす温床になります。
子供の気持ちをわかったつもりになる危険性
アメリカの精神科医の研究で「子供にとって最悪な親」に挙げられる例が、この「子供の気持ちをわかったつもりになる」事です。
自己陶酔型とも訳され、自分の子育てに絶対的な自信がある人に多く見られます。
子供の気持ちを考えているようには見えますが、その頭の中は専門書やネットで得た情報を親の都合に合わせて解釈したものばかり。
自分の叶えられなかった夢や子供としてあるべき理想像を押し付け、我が子の人生をコントロールしようとする親をイメージするとわかりやすいでしょう。
本人に悪意や問題意識が無い事も大きな問題点で、むしろ善意の空回りが余計に子供の気持ちを押さえつける事に繋がります。
問題行動を起こした子供を調査すると、このような毒親とも呼べるタイプの両親に遭遇する事が多々あります。
その時に子供たちは「両親は何もわかってくれなかった!」と悲痛な叫びを上げている事も珍しくありません。
良かれと思っていたはずの選択が、子供自身にとっては重荷でしかなく最悪の選択になる事もあります。
家族の問題として考えるのであれば、子供も当事者の一人である事を忘れては行けません。
最後に
端的に「子供の事を考えたらどっちがマシ?」と考えるようになったら、それは危険信号です。
繰り返しになりますが、「どっちがマシか?」という発想は、決してベストな選択ではありません。
子供のため…と理論武装をした自己正当化の話でしか無い事も多く、それが「本当に子供のためなのか?」今一度、冷静に考えてみてください。
仮面夫婦にも片親にも、それぞれにメリット/デメリットがあります。
その両方を踏まえて、これからの生活をどうしていくか?という点を、子供にもわかりやすく説明するのは親としての責任でしょう。
そして、状況に合わせて「家族にとってベストな選択は何か?」を考えなくてはいけません。
その結果が、仮面夫婦として生活をする/離婚をする…のどちらの選択であったとしても、真剣な姿勢で考えていたのならば、子供からの理解も得やすいでしょう。